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総合病院の夜間入口の傍には、パトカーが一台、停まっていた。
白井さんは車の中から辺りを慎重に窺いながら、わたしに言った。
「それじゃ、…まず、萌ちゃんが、受付で十和田くんの友人であることを伝えて、彼の状態を聞き出してくれる?
もし、面会が出来そうだったら、部屋番号を聞いてから、こっちに顔を出して、手招きすをする。
面会が無理だったら、戻って来て。…OKかな?」
「分かりました」
わたしは頷いて、シートベルトを外した。
後部座席を見ると、祐希が気持ちよさそうに眠っている。
わたしは辺りを見回してから、助手席のドアを開けた。
夜中の12時を過ぎてから急に冷え込んで来たようで、わたしはコートの首元をきゅっと握りしめた。
…ヒロシくん、…無事でいて…。
わたしは携帯を取り出し、電源が切ってあることを確認してから、夜間入口をくぐった。
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