第1話

9/13
24人が本棚に入れています
本棚に追加
/13ページ
夕日が西へ傾くころ、4人はそれぞれの岐路に向かう。 途中まではみんな同じだったが八王子駅で帰る方向が違った。 舞と杏子、桂馬と正人で別れた。 近所の中学ということで舞と杏子は1駅しか違わなかった。 電車内でも舞のトークは止まらない。 「ねーねーどっちの方が良いと思う??」 公共の場を感じさせない興奮ようで聞いてくる。 「ん~うちはどっちもどっちかな」 「え~つまんないの。うちは断然正人君かな」 舞は正人のギャップにやられているようだ。 たしかに、正人の話には目を輝かせていた。 乗り換えてから3駅ということもあって、すぐに舞とは解散した。 電車を降りた杏子はこれから始まる高校生活に胸を躍らせた。 「なぁ・・・舞ちゃんよくね???」 「んーいいけど少しはきはきしすぎじゃね? どっちかと言ったら杏子ちゃんの方がおしとやかでいいな。 舞ちゃん気になんのかよ?え?え?」 「はっ!?ち、ちげーよ!!そう意味じゃなくてー・・・あっ俺降りなきゃ! じゃまたな!!」 「・・・動揺してんのバレバレ・・・へたくそかよ・・・」 少し鼻で笑い、自分の最寄駅を目指した。 夕日が顔を照らした。 「ライバルか・・・」
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!