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晶の言葉に反論しようともせずに、亮は黙って集団の後について歩いた
みなで病室に入る
一番後尾から、ゆっくりと足を踏み入れた
ゾロゾロと入ってきた皆に向かって
「皆来てくれたの?
ありがとう!嬉しい!」
と、憂が笑顔で迎えた
その声を聞いて少し安心をしたものの
やはり前に出ていくのには足がすくむ
皆が憂を囲んで楽しそうに話しているのを少し離れて見つめていた
憂は全く亮を見ようとしない
視界に入っているはずなのにもかかわらず
晶もそれに気付いた
しかしこの後
更に
憂の異変に驚かされる
「ねぇ……憂?」
不思議な顔で晶が憂に話しかける
「なぁに?晶?」
無邪気に憂が答える
やはりおかしい
「憂?」
不安な顔でもう一度晶が声をかける
「やだあ?どうしたの?晶?何?」
クスクスと笑いながら答える憂
誰だあれ?
亮が遠くから憂を見ながら感じた
あんなにはっきり喋って笑っている憂なんて初めてみた
晶も同じ事を思っていた
周りの皆は全く気づいていない
気づいているのは二人だけだ
「あ~!!早くよくなって皆と一緒にまた仕事したいよ~」
今までに見た事のない笑顔で憂が話す
「だよね~待ってるからね~」
と周りのスタッフ達も盛り上がっている
はぁ…!?
晶と亮だけが氷ついたように固まった
気付くと無意識の内に亮は憂の側に近づいていっていた
そして
「お前……誰だよ?」
何が起きたのか
目の前で笑っている憂が自分の知っている憂ではない
そのことを確かめるかのように亮は憂に言った
「あんたこそ誰よ?」
あ
あああ
あんた!!!?
晶も目を見開き驚いている
誰だ!こいつ!?
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