さようなら、さやか

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咲子は、机に座りながら、さやかの背中に向けて、残念そうに言う。咲子は、さやかが帰ってしまうのは、わかっていた。今までだって、泊まってくれたことはなかった。さらに、すくなくとも、咲子はさやかのことを親友だと思っているのだけど、さやかの家に呼ばれたことはなかった。そもそも、さやかの家の場所すら知らない。  咲子は、椅子から飛び降りると、1階へ降りていき、母親とさやかを追いかけていった。 「また、学校でね」 玄関で、咲子はさやかに軽く手を振った。 「うん、またね」 さやかは玄関をあとにして、このあたりでは少し広めの庭の先にある門まできたとき、ふと、振り返ってみた。咲子がまだ、玄関に立っていたのが、さやかの目に入った。  さやかは、そっとおじぎをしてから、くらい夜道へと歩いていった。
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