第2章

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 土曜日ということもあってか、電車には人がたくさん載っていた。  座るような場所もなく、俺と榛名は右のドアの近くの場所でつり革を握る。  もちろん俺は両手で掴む。もうすっかり癖のようになってしまったものだ。 「それで、現場に行って何がしたいの?」  俺がそう問いかけると、榛名は電車内の広告から目を離さずに言った。 「能力か能力じゃないか、それは行ってみて、実物を見てからわかることよ」 「どういうこと?」  写真じゃ判断できないような、オーラ的なアレがあるって言いたいのかな。そんなもの微塵も感じたことないけど。 「能力で作り出したものと、元から存在するもの、それには違いが出るものよ」  依然と広告から目を離さない榛名。そんなに北海道に行きたいのか。たしかにメシはうまいって聞くけど。 「そんなのみてわかるの?」 「触れば一発よ」  手をひらひらとさせながら言う榛名。それが万が一歴史的なものだったらどうするんだろうか。
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