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「おん?」
ところが、先程まで後ろにいたはずの、彼女が突如として俺の目の前に現れたのだ。イヤ本当にずるい。
俺はそのまま反転して、別の逃走経路を確保しようとしたのだが。
「つかまえたぞ、変態」
「しまった!」
腕を巻き込むような形で胴体をホールドされてしまい、身動きがまったく取れない。こいつほんとに女子か!?
すかさず右側から、渾身の右ストレートが俺の右の頬にヒットする。顔が左側に強制的に向くこととなる。
「うごっ」
更にそこに追い討ちの右ストレート!!それにより顔が正面を向く。
「ふぐっ」
極め付けに正面には、鬼のような怒気を全身から噴出し、不気味にその長い黒髪が揺れていた。
前後左右、同じ顔の女性に囲まれてフルボッコにされるというなんともめずらしい状況が出来上がった。
「死ね」
冷たく言い放たれた言葉とともに、またしても右ストレートが俺の顔面を襲う。
「ぬめっ」
その殴られた勢いを利用して、俺をホールドしていた後ろのやつが、見事なまでのジャーマンスープレックスを決めた。
「ジャーマンッ」
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