第2章

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「ここで降りるわよ」  榛名の声で我に帰る。ホームには人がちらほらといた。  栄えた町の端。そんなイメージの場所におりたち、俺は周りを見渡してしまった。  都会とは言い難い、しかしながら、閑静な住宅地とも言えない。  住むのに便利そうな、大型のスーパーが、駅に隣接していて、そこから南北に大通りが通っている。  東西にはアーケード街。それ以外はコンビニやら、飲食店、クリーニング屋らしき小さな店が乱立して、ほかは住宅が立ち並ぶ。  アーケード街も寂れているわけではない。活気は確かにあるし、シャッターを下ろしている店は見当たらない。 「これを抜けた先、そこの高架下の河川敷がそうよ」  ふーん、とそっけなく返してしまう。まさかこんなところから発見されたなんて。  もっと早く見つかってもいいような気がした。 「やっべぇ、タピオカジュース飲みたい」  なぜか、商店街の出店チックな飲食店は美味しそうに見える。 「じゃあ、私クレープ」  そう言って財布を出さないで腕組みする榛名。これはおごれの合図。
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