第2章

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 常識的に考えて治るわけがなく。口の中にできた切り傷を気にしながら俺はクレープとタピオカジュースを完食した。  そりゃそうだよ、口内炎って治りにくいじゃん。口の中でツバの中に生まれてるようなもんなのに治らないじゃん。  よって、ツバつけてりゃ治るはウソです。残念でした。 「あ、もうそろそろ抜けるから右に曲がって」 「右に曲ガール」 「は?」  ごめん、こっちの話。気にしないで。汚物を見るような視線を向けないで。  アーケード街の端っこまで来てしまうと、人はほとんどいなかった。  河川敷のあたりを走ったり、自転車をこぐ人や、犬の散歩をする人がちらほらいるくらいだ。  これといって不思議な感じはしない。それどころかいたって普通だ。  そんな、歴史的なものが見つかれば、少しくらい騒ぎになっていてもいいと思うんだがなぁ。 「ここね」  右に曲がって、大きな橋を一つ越え、二つ目の橋の下。  背の高い雑草が生えており、むやみに立ち入ろうとは思わない場所だ。
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