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たぶんもうひとりのリストラは ……太一さんだろう 退職後、二人で毎日遊んで暮らせると思ってる 「悪いけど……お姉ちゃんの話を信じてるなら、私帰るね?」 言ってから……… すごく悲しくなってきた…… ソファーに座る前…… まだコートも着たまま…… いい歳して、都合の良いことしかいわないお姉ちゃん…… この歳になっても お姉ちゃんの話を鵜呑みにして騙されてる二人…… そんな時に 私に頼ることも…… 相談することもしてくれない親…… 純平から、連絡もらってンじゃないの? なんで、お姉ちゃんばっかなの? そりゃ、口は上手いよ けどさ…… 娘はもうひとり居るんだよ? 頼られるような人間じゃないのはわかってる でも、お姉ちゃんより まともな天秤を私は持っている…… ………持っているけど 偏った考え方は まともな天秤じゃ量れない 毎日顔を会わすわけでもない私より お姉ちゃんの方を信じるよね…… なら…… この先の話なんて する必要はないんじゃない……? 「あのさ……結婚式は挙げないで 両家だけの食事会にしたいの…… お店はちゃんとしたとこ探すから 決まったら連絡するから……」 ズズズ……まだ泣いちゃダメ…… ………玄関に向かって歩き出す 「ちょっと……マリカ!」 お父さんの声にも振り返らない……
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