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純平にメールをする
お姉ちゃんの退職届をファックスできないか……と、実家の番号を入れて送信
ダイニングでは、私がこの家を出るまで使っていたお茶碗やお箸が並んでいた……
この家で
完全なお客様になっていた私なのに……
まだここに、少しだけ私の欠片が残っていた
プシュ……
「ビールならいいだろ?
エビチリ好きだったろ?」
お皿に取ってくれた……
「ありがと……お姉ちゃんは?」
なぜかビクビク
「新しいところが9時までなんだ
爪にゴテゴテしたのつけるとこ
ネールサロン……の受付
だから、ゆっくりしていきなさい」
「ネイルサロンでしょ?」
……で、働き始めたんだ
趣味に近いし……
試験受けてネイリストさんになる方が似合うんじゃない?
お父さんは、私がお姉ちゃんと顔を会わせないようにしてくれて……
逆に気を使わせしまって、申し訳ない気持ちになる
プルルル……プルルル……
家の電話が鳴り、お母さんが出て……
「ファックスみたい……」
ピーーーーピョロピョロピョロ~~……
独特の電子音
「それ、純平からだと思う」
送られてきた用紙を
お父さんに見せる
「…………?!」
「一身上の都合により……って、言葉を知らなかったみたいでさ……
それは、さすがに驚いたけど
辞めるなら、いちいち教えなくてもいいかな?……で、私は処理したよ
自分から退職したんだよ?
朝、来て……いきなり今日で辞めます……って……
はっきり言ってね?
純平が雇うと言ったからみんな我慢してたんだよ?」
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