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「そちらこそ、彼女に何か用ですか?
……元カレさん?」
「………はぁ?
何を言ってるのかさっぱりなんですが……?
別れるつもりなんかないですよ?
ちょっと、喧嘩しただけなんですよ
それを『別れた』なんて~
んな、コイツの言うことを真に受けないでくださいよ
いやーーお恥ずかしいです
ご迷惑、おかけして申し訳ありません
はぁ~~…………早く降りろ
………ったく、いつもいつもこうなんですよ……ほら、世話かけんなよ」
助手席のドアに手をかけたので
カシュ……ロックを掛ける
「オイッ!彼女を拉致る気か?!」
「………………場合にもよりますね」
俺と行くか?………耳元で囁くと……
再びジャケットが
ギュッ……と握られた
わかったよ……
「ハハハ……
悪いね元カレさん
…………彼女は渡せない」
パワーウィンドーを上げる
もう、コイツに用はない
ラマの頭を離し
助手席に座らせると
外に立つ雪まみれの男から目を逸らし
………俺を見て頷いた
静かにアクセルを踏み込むと
ゴゴゴゴ………
積もった雪を踏み潰し、車は動き出した
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