第2話 帆香と二人っきり!大丈夫私殺されない?

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 でも本当に彼女は堕天使なのだろうか?もしそれが事実ならば天使は悪魔を葬り去る力も失われているはずだ。しかしその確証が確認出来ないため、未だに瑞稀の警戒は解けない。  「あーっ!その目、まだ私が堕天使だって信じていないんでしょ!いいわ。今ここには誰もいないから、その証拠を見せてあげる。」  帆香は静かに瞳を閉じ、胸の前で祈るように両手を組み合わせる。そうすると、帆香の頭の上に天使の輪っかが、背中には天使の翼が現れた。しかし、その翼は、当初瑞稀が予想していた神々しい純白の翼とは大きくかけ離れた、漆黒の翼だった。その帆香の姿は神秘的なイメージは感じられない。むしろ恐怖を覚えてしまいそうな感じだ。  しかし、この漆黒の翼は堕天使であることを象徴している。  「ね?これで信用してもらえたでしょ?」  「う、うん・・・。」  その姿を見た瑞稀はその場で座り込んでしまった。  「ちょ、ちょっとどうしたの清水さん!」  殺されるかも知れない。その極度の緊張から解き放された瑞稀は完全に腰が抜けてしまった。一人では立つ事が出来ない。  「ご、ごめん、安心したら一気に力が抜けちゃった・・・」  「とにかくそこのベンチまで運びましょ!ほら、そこの使い魔ちゃんも手伝って!ってあなたも脱力してるんじゃ無いわよ!」  ミュウも緊張の糸が解け、瑞稀の肩の上に仰向けになって倒れ込む。  帆香は瑞稀の手を握り立たせると、抱え込むようにして瑞稀の体を支え、近くのベンチまで瑞稀を運んだ。  「・・・で、人間界に来たのは良いんだけど、楽しかったのは最初だけ。私ってば結局お金も何も持っていないから、何も出来なくなって途方に暮れちゃって。」  「そうだよね。人間界って何をするにしてもお金が必要だもんね。」  「そう。それで渋谷の街を徘徊していたら、突然間宮さんに声かけられて「アイドルになってみないか」って。当面の生活費も、寝泊まりする部屋も用意するからっていうから二つ返事でOKしちゃった。なんかアイドルなんて面白そうだったし。」  「あっ、それ、私も同じ!私も間宮さんに同じ事言われた!」  「えっ、清水さんもそうなの?」  人間界にやってきたきっかけは異なるものの、その後の境遇、間宮のスカウトなど、共通する点が多かったためか、瑞稀と帆香は完全に打ち解けていた。
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