第2話 帆香と二人っきり!大丈夫私殺されない?

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 「エレベーターの乗り方分かった?私、わかんなくて地下の階へ行っちゃった。そしたら親切な女の人が乗ってきて、私もオフィススフィアに行くから一緒に行こうって。」  「実は私もわかんなくて地下に行っちゃったの。そしたら偶然神木さんが乗ってきて一緒にオフィススフィアに行こうって。」  瑞稀はフェンスに寄りかかるように、帆香はフェンスの外側を向いて、二人は並んで立ってたわいもない会話に花を咲かせる。ミュウはその周りを飛び回って二人の会話を聞いている。  「私のことは瑞稀で良いわ。あ、それとこの子はミュウ。私の使い魔。紹介が遅れちゃった。」  「私も帆香って呼んで。改めてよろしく。瑞稀、ミュウちゃん」  帆香は瑞稀に右手を差し出した。それに答えるように瑞稀はその手を堅く握り返す。  「うんよろしく、帆香。」  「よろしくお願いします。帆香様!」  「ところで、羽生帆香って名前、偽名よね?本当の名前はなんて言うの?どうやってその名前決めたの?」  「私の本当の名前はヒルディア・バリヴェント。そして、この名前はね・・・」  そう言うと、帆香はカバンの中から一枚の、少し汚れ、折り目でくしゃくしゃになっている紙切れを差し出した。「渋谷の街で拾った物なんだけど。」と一言を加えて。  瑞稀はその紙切れを受け取った。どうやら何かのチラシのようだ。瑞稀はそのチラシに書かれている内容を確認する。ミュウも瑞稀の肩越しにそのチラシを眺める。  その途端、瑞稀とミュウの顔は真っ赤になった。  「帆香・・・こ、これ・・・。」  そのチラシにはほとんど服を着ていない、肌を露わにしたほとんど裸に近い女性の写真が名前と共に沢山印刷されていた。そのチラシの上部には「激安!特価DVD」という文字が大きく踊る。  それはいわゆるアダルトビデオのチラシだった。  「も、もしかして、この中から名前を取ったの?」  「うん、その中から二人の名字と名前と組み合わせて羽生帆香ってしたの。これなら他の人と同じ名前になることとか無いでしょ?」  要するに、「羽生○○」というAV女優と「○○帆香」というAV女優の名前がそのチラシに書かれており、その名字の部分と名前の部分を抜き出し、組み合わせて「羽生帆香」と名乗っている、というわけだ。
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