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「うーん、なんていうか、・・・よく考えたね。」
苦笑する瑞稀。
「そういう瑞稀だって偽名でしょ?本当の名前はなんて言うの?どうやってその名前に決めたの?」
「うん、私の本当の名前はリリア・キーリングバリー。この名前は・・・今は持ってないけど・・・落とし物に書かれていた名前なの。」
「それって、同じ名前の人がおるって事よね?大丈夫なの?」
「大丈夫だと思うよ。この世界には同じ名前の人が沢山いるみたいだし。・・・ってミュウが言ってた。」
「えっ、そうなのミュウ?」
「まぁ、聞いた話ですけどね。」
ミュウはこう見えて意外と人間界に関する知識が広い。まるで一度人間界に住んでいたかのように。事実、瑞稀も人間界に来てからはミュウのアドバイスに多々助けられている。
「じゃあ、私も深く考えずにこの中から適当な名前選んでも良かったんだ!」
「いや、帆香はそのままで良いと思う。」
間髪いれずにツッコミを入れる瑞稀。
もしも新人アイドルの名前がAV女優と同じ名前だったらどうだろう。マネージャーである間宮の顔が真っ青になる様子が瑞稀の頭に思い浮かぶ。そもそもAV女優の名前は表で活躍している芸能人と名前が被らないように考えて付けられているはずだ。そのAV女優と同じ名前の芸能人がデビューした場合、世間は大騒ぎなるのは間違いない。知名度が一気に上昇するのは間違いないであろうが、こんな事で知名度が上がっても正直余り嬉しくない。芸名を与えられるのがオチだろう。
「ねぇ、今日はこれから暇?暇ならどこか一緒に遊びに行かない?」
そう切り出したのは帆香だった。
瑞稀にはこの後は予定は特に入っていない。何も無ければ自分の部屋に帰る予定だった。
「遊びに?うん、時間は空いてるけど、どこへ?」
「あそこ!」
そう言って帆香はフェンスの向こう側に向かって指を指す。その方向には東京の高層ビルの隙間から見える赤くて高い電波塔、東京タワーだった。
「私たち、人間界に来たのは昨日でしょ?だからこの際この都市を観光しようと思って。東京観光と言えばやっぱり東京タワーでしょ?だから、一緒に登ってみない?きっとあそこからの眺めはすごい綺麗だと思うんだ。」
「そう言われればそうね。いいわよ。行きましょう。」
そう言って二人とミュウは地下鉄を乗り継ぎ、東京タワーへと向かった。
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