17人が本棚に入れています
本棚に追加
ジャック・オ・ランタンの姿をした化け物の喉元に食らいつき、噛み千切りながら、きかん坊を乱射する。
究極☆腐腐腐魔法と言う、ふざけた魔法が内包されてる弾丸を。
究極☆腐腐腐魔法とはスミノフが開発した魔法で、この魔法を内包した弾丸で撃ち抜かれた者は無力な赤ん坊に逆戻りし、それまでの記憶まで真っ新になりしかも腐に目覚めるという、ふざけてるとしか思えない魔法だ。
そして撃ち込んだだけじゃ始まらないところは、やはり魔法だからか。
魔法だから短くても詠唱が必要。これまたふざけた詠唱を、撃ち込んだ僕が口にしなければならない。
「往生しなっせ!」
うん。いつ叫んでも使い方を間違ってるよな。この弾丸では死なないし。死なないから成仏も出来なければ仏にもなれないし。僕に向けられるべき言葉だろう。
とりあえずその一言で魔法陣が展開し、身体に魔法陣が浮かび上がり光り輝くと、化け物達がどんどん小さくなっていく。
「う~ん、カ・イ・カ・ン、だよね!敵を無力な赤ん坊に還して、人生やり直させるんだよ!どんな人生になるのか知らないけど。で、苦悩するんだよ。腐の道に行くか行かないか!」
敵を全員赤ん坊にしたところで、さらりと酷いことを言う。
とりあえず、撃たれた奴は御愁傷様と言うしかない。
「で、敵の数子はどこにいるんだ?」
スミノフの隣に着地して訊く。
「あそこ」
指差した先は、湖の中にぽつりと存在する島の上に堂々と建っている、 ノイシュバンシュタイン城のような城。
「あそこまでどうやって行くんだ?流石に僕でも、あそこまで跳んで行くのは無理だし、水の上を走っていくのも無理だぞ」
「ふっふん!そんなの簡単だよ!マジカルワード、階段!」
詠唱とも言えない詠唱と同時にノイシュバンシュタイン城に向かって、バァン!と弾丸を一発。
城に向かう途中で四つの破片に分離し、それぞれが支点となって魔法陣が展開される。
光り輝く魔法陣が消えた後に現れたのは、真っ白な階段。
僕達の足元から城の頂上にあるドデカい窓まで、一直線に伸びている。
「死ぃちゃんなら足場があれば十秒くらいでしょ?よろしくね!」
お姫様だっこと言いながら手を伸ばしてくる。
仕方なくお姫様だっこして、階段を駆け上がる。
頂上に着いてスミノフを下ろし周りを見渡す。まるで教会みたいだ。足音がして中央を見ると、ハロウィンの仮装学芸会にしか見えない集団がいた。
最初のコメントを投稿しよう!