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ちら、と運転席を見ると、春山先生は黙って前を見つめていた。
…どうしたんだろう、急に…。
単純に嬉しくて、今にもはしゃぎ出しそうなわたしを、冷静なわたしが必死で制御しようとしている。
先生がわたしを、こんな遅い時間に呼び出すなんて、初めてだもの。
きっと、何かある。
それがいいことなのか、悪いことなのか、…見極めてからじゃなきゃ、喜べない。
春山先生からの突然の電話で、わたしは目の前に停車したバスを見送った。
『今、どこ?』
「え。…えっと、…バス停ですけど…」
『どこの?』
「…区役所前の信号のところの…。塾の、すぐ側の…。」
『ああ、分かった。…ちょっとそこで待ってて』
「…え?」
『迎えに行くから』
「……」
えっ。
…という、とてもシンプルな約束を交わしたのち、今、この状態になっているわけなんだけど…。
どうしてだろう…。
先生がわたしを呼び出す理由って、…何がある…?
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