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「あの、…先生…」
「ん?」
「質問があるんですけど…」
「いいよ、なに」
「先生の実家って、…こたつ、あるんですか」
「…実家…?…なんで、実家なの」
「いえ、深い意味は…」
「あるけど、こたつ。それが、どうかした?」
「…そうですか…」
「え…なんで?」
「え?」
「なんでこたつがあると、残念なの?」
「…別に、残念では…」
「いや、…めちゃめちゃがっかりしただろ、今」
「そんなことないですよ」
「したって。…何だよ、気になる」
「そんなことないってばっ」
「…なんでキレるの」
「…キレてないです…」
「……」
先生は訝しげな顔で首をかしげている。
……やっぱりあるんだ、こたつ……。
聞かなきゃよかった…。
くだらないと思いつつ、わたしは本気で落ち込んでいた。
再び沈黙が続き、やがて赤信号で停止すると、先生がわたしの方に顔を向けた。
ドキドキしなが見返していると、先生の手がそっとこちらに伸びて来た。
頬をぷにゅ、とつまんでから、優しく撫でる。
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