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わたしは巨大な『?』マークを背中に背負ったまま、その重さによろけながら、玄関に向かって階段を登り始めた。
ホントに先生って、わかんない。
何しに来たの…?
っていうか、どうせ来たならせめて……。
おやすみのキスくらい、していこうかな、とかさあ。……先生にはそういう前向きな姿勢が足りないんじゃないかなあと思うよ、わたしは……。
ぶつぶつと心の中で文句を言いながら階段を登り切り、わたしは重いため息をついた。
……ちゅーくらい、してよ……。
玄関前に立ち、もうとっくに見えなくなった先生の車が去った方向にぼんやりと目線を送る。
ブブブ、という振動で我に返り、わたしはポケットから携帯を取り出した。
…メールだ。
発信者は…『更科ミツル』
開いてみるとそこには、絵文字をふんだんに使った乙女メールが届いていた。
『萌先輩へ。
月子の圧勝じゃつまらないから、少しだけサービス。
もしかしたら今日、いいことあるかもよ。
さっきの泣き顔の写メ、春山先生に送っておいたから。
明日、ジュースおごってよね。
ちなみに俺は、ホントに待ち受けにしてまーす』
「……?」
どういうこと…?
しばらく考え込んでから、…わたしは「あっ」と声を上げた。
…そっか…。
謎が、解けた。
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