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 ……春山先生……。  ――泣き顔の写メを見て、心配になって、――わざわざわたしの顔、見に来てくれたんだ。  謎のバスの正体が判明すると、心配をかけてしまったという申し訳なさの半面、今さらながら嬉しさがきゅうっと込み上げて来る。  喜びで顔が熱くなり、わたしは先生が触れてくれた頬に冷たい手を添えた。  会いに来てくれた理由が分かった今、車の中での素っ気ない横顔が浮かび、先生の事が愛おしくてたまらなくなる。  …もう、…先生ってば、言ってよ…。  言ってくれなきゃ、分かんないよ…。  先生の車が消えた方向を見つめながらニヤニヤしていると、リビングの硝子戸からこちらを覗く祐希と目が合った。  あっ、と思った時には、呆れかえったその顔は、シュッと閉じられたカーテンの向こうに一瞬にして消えていた。
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