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「それにさ。カメラとかテープを盗んだって、そのデータがすでにコピーされてる可能性だって、当然想定されるじゃん。
現にヒロシはパソコンに取り込んでおいたわけだし。
今さらマスターを盗んだって、しょうがなくない?
しかもあの夜、ヒロシくんがそのマスターをたまたま持ってきてる可能性だって、100%じゃないんだよ。
証拠を根絶するつもりなら、もっと徹底しないと、全く意味をなさないでしょ。
生徒に締め技かけるなんていう、顔を見られるリスクを負ってまで、いい大人が起こす行動とは思えないよねえ」
確かに、…決死の覚悟でヒロシくんを襲ったとしても、もし他にコピーが取ってあれば、テープを奪ったところで、その行動は無駄に終わってしまう。
普通に考えれば分かる事だ。
「ていうか、…私が小林先生なら、ヒロシくんの前に更科くんを襲うね」
「…えっ」
「だってそうじゃん。更科くんは、自分たちの不倫を確実に知ってるんだよ。
脅されて鍵まで作らされてるんだし、…どう考えても、邪魔じゃん、更科くん」
わたしは固まった。
どうして気付かなかったんだろう。
確かに、…もし小林先生が、自分の身を守るため、生徒を力づくでどうにかしようと考えるような人間だったら、…まず先に、更科くんを何とかするはずだ。
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