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「彩加……」
「なあに」
「どうしたの、その推理力。すごいね」
「いやあ、大したことないよ。事件は人間が起こすものだから。そこにはいつも、必然性があるものなのよ」
「……」
なんだろう、この説得力…。
「なんだか、彩加の話聞いてたら見間違いだったような気がしてきた」
「でしょ」
わたしは何となく、心が軽くなったような気がした。
…早まって、春山先生にヘンなこと言わなくて良かった…。
「いーのいーの、犯人探しは警察に任せておけば。…そんなことより、萌」
「ん?」
彩加はさらに声のトーンを落とした。
「大丈夫なの?春山先生の方は。田辺が心配してたよ、落ち込んでるんじゃないかって」
「あ、…うん…。それが…」
わたしは、昨日の事を思い出し、つい笑みを浮かべた。彩加がそれに気付き、くすっと笑う。
「その様子じゃ、…あの後、いい事あったんだ」
「…うん…。実はね…」
更科くんの送った泣き顔の写メを見て、バス停まで飛んできてくれたことを簡単に話すと、彩加の顔はみるみる真っ赤になった。
「…もう…っ、やだあ、あの男っっ!!憎たらしいくせに、可愛いとこあるじゃんっ。…聞いてる方が恥ずかしいわっ!」
彩加は、手のひらでひらひらと顔を扇いだ。
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