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「……へえー、あの春山先生がそんな行動をねえ。
泣き顔見たら、居ても立っても居られなくなっちゃったんだあ。
それだけ、萌に夢中って事だねえ」
「…そんなこと、無いけど…」
と言いつつ、その言葉が嬉しくて、頬を緩める。
…『萌に夢中』…。
田辺くんの『椎名にベタボレ』に匹敵する言葉かも…。
彩加はにやりと笑って、
「わたし、知ってるんだよねえ。春山先生が、…少なくとも1年前にはすでに、萌にハマってたってこと」
「え…」
「考えたら凄いことだよね。色んな生徒から次々に告白されても、相手にもしないあの人が、たった一人、特別扱いしてた生徒が、…萌だったんだから」
「……」
顔がじわりと熱くなって、わたしは両手でほっぺを隠した。
…やば…。
なんか今の、…ほんとに嬉しい…。
「萌。これから、何か不安なことあったら、悩む前に私に言ってごらん。
全部ひとことで吹き飛ばしてあげるからっ」
バシッと叩かれた肩は、いつも以上に痛かった。
「…ありがとう…」
彩加は鼻歌を歌いながら、手元に目を落とし、折った紙を輪ゴムで留め始めた。
わたしも、ふわふわと浮かれつつ、花作りを再開する。
くねくねしながら作り上げた花はくねくねした仕上がりだったけれど、彩加の作った花のクオリティと見比べ、安心してカゴに落とした。
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