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「…それにしてもさあ」
彩加は首を傾げた。
「更科くんて、謎だよねえ。
萌のこと好きだ好きだって言ってたくせに、なんで応援するようなことしたんだろう。
なんだか、やることなすこと、よく分かんない、あの子」
彩加はふんわり、というよりはぐっちゃり、な花を、またひとつカゴに投げ入れた。
「あっ!!春山センセ!!」
誰かが上げた声にドキッと反応すると、教室の入り口から、春山先生が顔を覗かせていた。
「あれ?…男子は?」
入口付近にかたまっている、ひと際大きな縫い物チームの女子の輪に向かって、先生が問いかけた。
「ヤローどもは、中庭にペンキ塗りに行きましたっ」
「そ」
引っ込もうとする先生に、
「ちょっと待ってよ先生!」
「なに」
「前回も男子の方を手伝いに行っちゃったでしょお。今日は、女子の方手伝って下さいよぉ」
甘えたような声は、佐緒里だ。
「……お前らそれ、何やってんの」
「まつり縫いでーす」
「ふうん……」
先生は、佐緒里の手元を覗き込んでいる。
……あ。興味示してる。可愛い……。
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