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 わたしの笑顔を見て、田辺くんはほっとしたようだった。 「…あんま、泣くなよ。安心しろって、春山先生は間違いなく椎名にベタボレだから」 「……」  …『ベタボレ』…。  顔がほんわりと熱くなる。  …さすが田辺くん。…人を元気づける、天才。  今の言葉は、かなり、キタ。  わたしがつい頬を緩めると、田辺くんはニッと笑って、机の上に置いてあった原稿を手に取った。 「今日は、俺が加賀の分の下校放送やっとくからさ。保健室、顔出して来たら。気になるだろ?」 「…いいの…?」 「こういう時くらい、甘えろよ」 「…ありがとう…。…じゃ、シフトの確認だけしたら…行くね」 「ん、それがいいよ」  少し気持ちが楽になって、わたしはクリアファイルに入った文化祭のシフトを取り出し、田辺くんに一枚手渡した。  田辺くんはサンキュ、と言ってプリントを受け取ると、目を通し始めた。  自分の分も取り出し、眺めながら、ふと、…さっき更科くんに言われて引っかかった言葉を思い出す。
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