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白井さんの車を見送り、わたしたちはしばらくその場で手を振っていた。
テールランプが見えなくなり、…祐希が私の顔を見て、ぎょっとした。
「ねーちゃんっ。…なんで、泣いてんの」
「…だって…」
わたしは鼻を啜った。
さっきの白井さんの話を聞いて、ふと、…もし祐希が居なくなってしまったら、と想像したら、…涙が溢れて来て、どうにも止まらなくなってしまった。
「…祐希…」
わたしはぎゅっと祐希に抱き付いた。
「ちょっと、何やって…」
「…お姉ちゃん、祐希のこと、大好きだからね。…なにか心配なことあったら、いつでも言ってね。力になるから」
「…分かった、…分かったから、ねーちゃん。…恥ずかしいよ…」
じたばたと暴れる祐希の身体を抱きしめていると、…何か、違和感を感じる。
「…ん…?」
わたしは祐希の背中を探った。
「あ、ダメ、そこ、だめ…っ」
身体をくねらせる祐希のコートを引っ張り上げ、ズボンのおしりに挿してあった平たいものを取り上げる。
パッと身体を離し、自分の手にあるものを見ると…。
『ロリロリ天国』
「…ゆーーーきっ!!」
「いやあ、…武藤に自慢しようと思ってさっ」
へへ、と笑ったいやらしい顔が白井さんそっくりだったので、わたしは思い切り、祐希のおでこをひっぱたいた。
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