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*****  とぼとぼと階段を降りて行くと、ポケットの中の携帯が振動した。  立ち止まると、すぐに振動が止む。  …メールだ。  今は見る気力もなかったので、わたしはそのまま再び階段を降り始めた。 「…おい」  頭の上から声が響いたので、見上げると、…上の階段の手すりから、春山先生がひょっこりと顔を出している。 「…はい…」 「…携帯、見ないの」 「…え…」  そう言われて、急いでポケットに手を入れる。  もしかして、今のメール…。  携帯を開くと、『はるきち』から、短いメッセージが送られて来ていた。 『今日は塾、何時に終わる?』 「……」  顔を上げると、先生は視線を逸らし、知らんぷりをしている。  わたしは湧きあがる期待を押さえながら、返事を打った。 『7時です』  送信ボタンを押して、先生の顔を見上げる。  ほとんど同時に、先生が携帯を取り出し、開いた。…ちら、とこちらを見下ろし、手早く何かを打ちこんでから、携帯をパタリ、と閉じる。
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