-3-

8/8
1140人が本棚に入れています
本棚に追加
/38ページ
「だから言っただろ、気をつけろって」  先生の言葉に、ゆっくりと首を向ける。 「先生に、そっくりですね」 「顔はね。…歳とるにつれ、どんどん似て来たかも」 「中身は、…全然違いますね」 「アニキは、歳とるにつれ、どんどんサルに向かって退化して行ってるから」 先生は涼しい顔で水を飲み干してから、わたしのお皿をちら、と見た。 「…おかわりは?」 「あ、いえ…お腹いっぱいです」 「そ。…じゃ、取って来るから、ちょっと待ってて。すぐ戻って来る」  先生は立ち上がり、食べた分の食器を持って、シンクに下げた。 「え。…どこ、行くんですか」 「…見たいんだろ、アルバム」  そう言って、先生はすたすたと廊下に出て行く。 「……」  先生…やっぱり、優しい…。  …大好きっ。  わたしは小さくガッツポーズをしてから、残りのカレーを勢いよく、一気に頬張った。
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!