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「だから言っただろ、気をつけろって」
先生の言葉に、ゆっくりと首を向ける。
「先生に、そっくりですね」
「顔はね。…歳とるにつれ、どんどん似て来たかも」
「中身は、…全然違いますね」
「アニキは、歳とるにつれ、どんどんサルに向かって退化して行ってるから」
先生は涼しい顔で水を飲み干してから、わたしのお皿をちら、と見た。
「…おかわりは?」
「あ、いえ…お腹いっぱいです」
「そ。…じゃ、取って来るから、ちょっと待ってて。すぐ戻って来る」
先生は立ち上がり、食べた分の食器を持って、シンクに下げた。
「え。…どこ、行くんですか」
「…見たいんだろ、アルバム」
そう言って、先生はすたすたと廊下に出て行く。
「……」
先生…やっぱり、優しい…。
…大好きっ。
わたしは小さくガッツポーズをしてから、残りのカレーを勢いよく、一気に頬張った。
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