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バスを2台ほど見送って間もなく、先生の車がバス乗り場に入って来た。
わたしはピョコっと立ち上がり、小さくスキップしながら助手席に乗り込んだ。
「ごめん、待った?」
「いえ、今、来たところです」
「寒かっただろ」
「いえ、全然」
せっせとシートベルトを締め、ふと顔を向けると、先生が私の顔を見て、何かを考えている様子。
「…どうかしました?」
「…いや。…お前、すぐ帰らないとダメ?」
「…えっ…」
大きく心臓が跳ね、わたしの身体もぴくんと浮いた。
まさか、…先生の方からそんな、積極的な…っ。
ドキドキしながら時計を確認する。
「メールすれば、十時すぎくらいまでなら、大丈夫です…」
先生も腕時計を見て、
「…わかった。…それまでには帰すよ。…いい?」
「……」
わたしが呆然としながら、こくり、と首を縦に振ると、先生はくすっと笑って、
「腹、減っただろ?」
「…はい…」
「チキンカレー、好き?」
…え?
「好きです…」
…けど…。
なぜピンポイントでカレー…。しかもチキン…。
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