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「…春山翔平です」
翔平くんは、照れているのか、怒ったように唇をとがらせ、ぺこりと頭を下げた。
「…椎名萌です…」
か、…可愛いっ…。
わたしは小さくなった春山先生と対面したような錯覚に陥り、なぜかドキドキしながら翔平くんを見つめた。
…やだっ…、すっごい、先生にそっくり…。ぎゅってしたい…。
翔平くんはわたしの熱っぽい視線に恐れをなしたのか、じりっと後ずさって…くるりと背中を向け、とととっと奥に走って行ってしまった。
…あっ。逃げられた…。
先生は翔平くんの後ろ姿を怪訝な顔で見送った後、わたしの顔を見下ろした。
「…今、あいつに何かした?」
わたしは慌てて、ぶんぶんと首を横に振った。
先生に似てたから思わず抱きしめようとした、なんて…言えなかった。
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