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*****  話を聞き終えた白井さんは、しばらくの間、宙を見て考え込んでいた。  わたしは頭の中を整理しながら、ヒロシくんが録ったテープのこと、そして更科くんがゆかり先生を脅して合いカギを作らせたこと、さらにわたしが保健室で見たヒップバッグらしきものについて、説明した。 「それが、本当にヒロシくんの物だったとして…」  白井さんは首を傾げた。 「確かに、萌ちゃんのお友だちが言うように、…小林先生がヒロシくんを襲う動機が、弱いような気がするね」  白井さんは、深く納得したような顔をしている。  彩加の名推理は、白井さんから見ても筋が通っているらしい。 「それに、…おそらく警察は、小林先生のことをとっくに調べ上げてる。 未だに名前が上がっていないということは、すでに容疑者から外していると思うよ」 「…どうしてですか」 「警察は、…今回の放火事件の犯人は、この学校の関係者であると睨んでいるんだ。柔道の有段者である小林先生を、調べないはずがない」 「え…ちょっと、待ってください」  わたしは驚いて言った。 「学校関係者って、…どうしてそんな…」 「犯人が防犯カメラに映らない、ということは、…そいつが、学校のどこにカメラがあって、どこを向いているのか、把握しているってことだろう?」 「あ…」  わたしは口に手を当てた。 「内部に詳しくない人間が、10か所以上もある防犯カメラに映らずに校内を徘徊することは、不可能だ。 …犯人が幽霊でもない限り、ね」  幽霊、という言葉を聞き、わたしが固まると、それを見た白井さんがあはは、と笑った。
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