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「所轄に出入りしてる新聞記者のおじさんに教えてもらったんだ」 「…もしかして、犯人が捕まったんですか?」 「いや、そうじゃないんだけど、…状況的に、ヒロシくんが放火をした形跡が、見つからなかった、ってことかな」 「…?」  わたしが理解できずにいると、白井さんは少し考えてから、ゆっくりと話し始めた。 「ヒロシくんが疑われていた主な理由は、ふたつ。 事件当日、学校に忍び込む姿が防犯カメラに映っていた、ただ一人の人物だったこと。 それから、衣服に灯油が付着していたことだ。ヒロシくんの衣類の押収と、手に付いていた成分の採取は、あの夜すでに済ませてあったからね。 でもその後の調べで、ヒロシくんの衣服についていた灯油は微量で、ほとんどが肩から上に付いているだけだったことが分かった。  恐らく、首を押さえつけられた時に、犯人の手から移ったものだろうって判断されたんだ」 「灯油が…」  ヒロシくんが、見知らぬ人物に締め技をかけられている画が生々しく浮かび、わたしは身震いしそうになった。 「じゃあ、…ヒロシくんを襲ったのは、…やっぱり、火を点けた人…」 「…少なくとも、灯油を撒いた人物であることは、間違いないだろうね」 「……」  いったい、誰がそんなこと…。  犯人の姿を想像してみようとしたけれど全くうまくいかず、気分が悪くなってきて、わたしは考えるのをやめた。
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