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姫はひとりぼっちでした。
家族はいません。
友達も、知り合いも召使いもいません。
お城は暗くじめじめしていて、気が触れてしまいそうです。
ある嵐の夜、姫は立ち上がりました。
戦士ならば腰元に鈍く光る剣を、冒険者ならば羅針盤を手にするでしょう。
姫は何一つ持ちませんでした。
これでは道中の空腹を満たすこともできません。
襲われれば丸腰です。
雨風をしのぐことすらかないません。
それでも姫は立ち上がりました。
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