姫と嵐

2/7
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/11ページ
姫はひとりぼっちでした。 家族はいません。 友達も、知り合いも召使いもいません。 お城は暗くじめじめしていて、気が触れてしまいそうです。 ある嵐の夜、姫は立ち上がりました。 戦士ならば腰元に鈍く光る剣を、冒険者ならば羅針盤を手にするでしょう。 姫は何一つ持ちませんでした。 これでは道中の空腹を満たすこともできません。 襲われれば丸腰です。 雨風をしのぐことすらかないません。 それでも姫は立ち上がりました。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!