姫と嵐

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しかし姫は恐怖など感じません。 構わず歩き続けます。 吹き抜ける風の刃に、堂々と向かっていきました。 雨粒に混ざって真っ赤な血しぶきが飛びました。 風は手加減などしません。 姫の白く柔らかい肌を躊躇なく切っていきました。 全身の切り傷から血が止まりません。 けれど姫の瞳には涙も怒りもありません。 足の裏でしっかりと大地を踏みしめ一歩前に、その足を進めました。
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