プロローグ

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あれは今でも覚えている。 確か夕日が綺麗な日だった。 私は中学に入学したての頃で制服が嬉しくて家に帰ってもなかなか着替えなかった。 母親はそんな私を呆れた顔で見てたけど、そんなの関係なかった。 逆に家にいるのが勿体無くて。 だから制服のまま外に出たら近所の公園で幼馴染のコウに会ったんだ。 コウは隣の家に住む年下の小学6年生。 普通だったら弟のように可愛い存在になるはずなのに…。 いつも私に意地悪してたしバカにしていた。 だから私はコウが苦手だったし、自分からは近寄らないようにしていたけど…。 でも、その日は私に気が付いていながら、ぼんやりと夕日を見てたっけ。 そんなコウを見ていたら何故か自分から近づいていった。 今思うと、もう会えなくなるって頭のどこかでわかっていたのかもしれない。 「…コウ」 私はコウの後ろに立つと小さい声で呼びかけてみた。
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