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「…怒ってねーよ」
その言い方は不器用だけど優しくて私は拍子抜けをしてしまった。
へっ?怒ってないの?
私が慌てて顔を上げると少し困った顔をしながら微笑んでいるコウの顔があった。
「いいの?」
「いいの?って…いいから来たんだろ?行くぞ、支度しろ」
「う、うん。待ってて」
私はそう言うと部屋に戻り、シャツとジーパンに着替え、鞄を持ち再びドアを開けた。
化粧はもうコウの顔を見ているから今直す必要もない。
だから5分と待たせてない。
「早いな」
コウもあまりにも早く出てきた事に驚いているみたいだ。
「化粧直す事ないでしょ?」
「フッ。まっそうだな。じゃあ行くか」
コウは一瞬微笑み、私が玄関のカギを閉めたのを確認すると車に向かって歩き出した。
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