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会社が退社の定時時刻になる頃、全員社長に呼ばれた。
「何の話でしょうね?」
隣にいる華ちゃんはワクワクした顔をしている。
きっと夏の賞与の事だと思っているのだろう。
いつも賞与の時は全員を集めて社長が話をするから。
当然、私もそう思っている。
今回の賞与は既に使い方を決めていた。
決めていたと言うより賞与でしか支払えないと思ってたからだ。
賃貸マンションの更新に伴う更新料。
2年に1回更新をしているのだが、家賃2カ月分を支払わなければならない。
少しずつ蓄えてきたものもあるが、生活の事もあるしできれば賞与で支払おうと思ってた。
なのに…。
社長の言葉は耳を疑うものだった。
「今期の我が社の売り上げについて、芳しいものとは言えません。社員の方には大変申し訳ありませんが夏の賞与はなしということにしていただきたい」
みんな社長が言ってる事を黙って聞いていた。
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