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私はコウにそう言われるとただ頷くしかできなかった。
気にするな…か。
まぁ…確かにもう結婚しているんだし、今更気にしたってしょうがないのもわかる。
でも…。
今まで気にしていなかったけど、私はコウの事を何も知らないかもしれない。
知っているのは幼い頃と再会してからだ。
もうそれだけで全てをわかっているように思えていたけど、それは違う。
本当は何も知らないのに等しいと思う。
コウは幼い頃に引っ越してから再会するまで、どんな人生を送ってきたのだろう。
両親を亡くして、育ててくれた祖母も亡くなって。
毎年お父さんの命日には挨拶に来てくれて。
とお母さんは教えてくれた。
でもそれはコウの人生の一部でもっともっと色んな事があったはず。
私はそんなコウの人生を知りたいと思いつつも怖いとも思った。
知ることで関係が変わるのが怖かった。
納涼会に参加して私の知らないコウを見れたのは嬉しかったけど。
逆にわからない部分も見えて、1ピース欠けた解けないパズルを渡されたような気分にもなった。
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