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私はその質問に答える事が出来なかった。
…好きな奴…かぁ。
智とは完全に終わったし。
憧れの早坂さんに告白されてドキドキはしたけど、そう言う気持ちにはなれない。
ただコウとの生活は心地良くて、嫌な感じはしない。
でもそれが恋愛感情なのか何なのか…よくわからない。
「あ…そうだ。帰りに酒屋に寄ってビール補充しないとないぞ」
私がしばらく返事に困り黙っていると、コウは違う話をしてきた。
きっとなかなか返事をしない私に痺れを切らして違う話題にしたかったのだろう。
「えっ?…あ…もうないの?」
私は話題が変わった事に一瞬躊躇したが、コウの話に合わす事にした。
それに答えなくてすむと思うとホッとする。
「ないの?ってお前が毎日飲むからだろ」
「だって…」
「ったく。今日は箱買いだからな。運ぶの手伝えよ」
コウはそう言うとニヤリとしてまたゆっくりと歩き出す。
私は「わかったわよ」と呟くと繋いだ手をぎゅっと強く握った。
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