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「智…」
「俺がやった事を考えればこんなことで許されないのはわかる。だけど…」
智は下を向いたまま、ひたすらに謝っていた。
私はそんな智を見ていられなくなった。
「もういいよ。私怒ってないから」
そりゃあ、酷い事をされたけど。
確かにあの時の事を忘れる事は出来ないけど。
でも心の傷は小さくなっている。
だって…コウが消毒してくれたから。
それにいつまでも引きずるわけにはいかない。
智は元彼だけど会社では仲間なんだから。
「本当にゴメン」
「ね…もう顔を上げて」
「…」
私の言葉に智はゆっくりと顔を上げる。
智の眼にはうっすらと涙が見えた。
私は智の涙なんか見たくなかったから、とびきりの笑顔で言った。
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