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「じゃあ俺行くわ」
智はそう言うと先に皆が待っている所へ戻ろうとする。
私も一緒に行こうとしたが「誤解されるぞ」と軽く微笑むと先に行ってしまった。
遠くなっていく智の後ろ姿はもう私の知っている智ではなくて。
凄く凄くいい男に感じた。
私達は別れてしまったけど、でもこれがあったから今の私がいる。
これからは智の幸せを心から願っているよ。
…さよなら。智。
「おせーよ」
私がぼんやりしているとコウの声がした。
その声に驚き振り向くと呆れた顔をしたコウが私の隣にいる。
私はいつから隣にいたのか全く気がつかなかったから凄く驚いた。
「あ…ゴメン」
「ったく。ほら行くぞ」
そう言うとコウは私から2人分の飲み物を取ると先に歩き出した。
でもその顔は怒っているようでもなく「早く来いよ」と言い、私を待ってくれる。
私は一瞬微笑むと「待ってよ」と呟き、コウの所へと歩き出した。
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