優しいぬくもり

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「ただいま」 その夜コウはいつもより遅く帰ってきた。 きっと終電だったのだろう、そろそろ日付が変わる時間だ。 こんな時間だから寝ていてもおかしくないけど、今日はコウが帰ってくるのを待っていた。 だって昨日は色々とお世話になったから。 だから夕食くらいは付き合おうと思ってた。 って言うけど、本当はただコウに会いたかった。 顔が見たかった。 私はコウが帰ってくるなり、リビングから声をかけた。 「おかえり。夕食キッチンにあるからね」 「具合は?」 「もう大丈夫。ほらビールも飲めるし」 私はコウに元気な姿を見せたいが為にニコッと笑うと見せるようにビール缶を揺らした。 そんな私の仕草が面白かったのかコウは「ふふっ」と笑った。 「そっか。じゃあ着替えてくる」 コウは元気な私の姿に安心したのか、微笑みながらそう言うと自分の部屋に入って行った。
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