第零章 夢と現実。

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00 プロローグ。  夢はいつか覚めてしまう。それでも夢を見ていたいと望むのは可笑しいことだろうか。夢が覚めてしまうことがなければどんなに幸せだろうか。  現実(リアル)なんて。  現実味のない日常。  現実に生きていながらそう感じている。  生きているという実感がない。生きながら死んでいる。  目を覚ます度にそう思ってしまう。その都度きっと狂っているのだと自分を貶す。そうして生きている。  それに生きている意味などなく、けれど死ぬ勇気なんてなく。  ただ、生きている。  唯一生きているという実感が出来るのは最近発売したゲームの中だ。特殊な装置を使うことで五感全てでゲームを体感するというとても新鮮なものだった。  製作者はそれをVRMMOと呼んだ。  要するに仮想空間で自分を動かし冒険する。  そんなゲームだ。  そこでしか生きている実感が湧かない。実際に傷つき、痛みを感じ苦しみながら生きている。  現実と違うところは魔法が存在していることだ。  初めは魔法をどうやって使うのかいまいち分からず苦戦したものだ。  誰かが教えてくれるようなこともない。  だから自分で覚えるしかない。それでも楽しかった。  新しいことが出来るようになる度に喜び、その喜びを共有してくれる仲間がいて、とても充実していた。  いつしか最強とまで言われるようになって、やれることを全てやり尽し……その間どんどん仲間が減っていった。  それでも憑りつかれたかようにそれにのめり込んだ。  後悔はないし、後悔するつもりもない。  現実はとても充実していたのだ。  そして俺の人生は終焉を迎えた。  何があったのかはよく覚えていない。  確かに死んだことは覚えている。それに今まで走馬灯を俺は見ていた。俺の人生はあまりもの空しいものだったと走馬灯が告げている。 「確かに君の人生はとても寂しいものだったようだね」  誰かが俺に問う。 「寂しい、か。俺は現実から逃れたかっただけなのかもしれないな」  不思議とその言葉にすんなりと返事をすることが出来た自分に少しばかり感心してみるがその行動に何の意味もなく、辺りを見回す。  何もない白一色。
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