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「またおんなじ事したら、ほんと、怒りますよ」
「はい…すみませんでした…」
か細い声で白井さんが謝罪した時、ちょうど、カランカラン、というドアベルの音がした。
振り向くと、スーツ姿のサラリーマンが数名、入って来るところだった。
レナさんが、いらっしゃい、今日は早いのね、などと愛想よく言っている。
「…お客さん来たし、わたしも今日これから用事があるので、そろそろ行きますね」
わたしが立ち上がると、白井さんも続いて腰を上げた。
「じゃ、送って行くよ」
わたしはちら、と白井さんを見て、
「先に言っておくけど、絶対にチューはしませんから」
店内が静まり返ったことに気付き、ふと見ると、お客たちがこちらを見て、固まっている。
その向こう側で、レナさんが笑いを堪えているのが見えた。
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