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 車内が沈黙に包まれた。  …この辺で、止めておいた方がいい。  …何も知らないわたしなんかが、余計なこと、言わない方が…。 「白井さん…。ちゃんと誰かに、甘えたほうがいいよ…」  目を伏せていた白井さんが、顔を上げる。 「レナさんとか、お父さんとかお母さんとか、友達とか、誰でもいいから。 そうやって傷ついた時、ちゃんと誰かに甘えて慰めてもらわなきゃ、ダメだよ。 誰にも本当の気持ち言わずに一人でガマンしてたら、……白井さん、かわいそう」 「……」  白井さんは、黙ってわたしの顔を見つめていた。  ――わたしってホント、懲りない……。また余計なこと言っちゃった。  自己嫌悪に陥り、わたしはため息をついた。 「ごめんなさい。わたし、生意気なことばっかり言って……」  蚊の鳴くような声で言うと、白井さんは黙ったまま、自分のシートベルトをカチャリ、と外した。  するする、とベルトが収納口に吸い込まれて行く。
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