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「萌ちゃん」
「……はい」
「俺、――萌ちゃんにしか、言ってないよ」
「え」
白井さんと視線がぶつかる。
その眼差しに、心臓が大きく跳ねた。
「『君のためなら変われる』なんて、他の子に言ったこと、ない」
真剣な表情に、わたしは思わず息を詰めた。
「これは、嘘じゃないよ」
暖かい大きな手が、わたしの手に触れた。
包み込むように、力強く握りしめる。
わたしは、急いで笑顔を作った。
「またそんな、適当なこと……」
自分でも、頬がひきつっているのが分かる。
それほど白井さんの目は、痛いくらいに真っ直ぐに、わたしを見つめていた。
「だめ……。手、離して、白井さん……」
わたしが腕を引くと、白井さんはあっさりとその手を解いた。
そして今度はゆっくりと、こちらに身を乗り出す。
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