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「そうだな」
コウはそう言うと「ふふっ」と笑った。
そんなコウを見ていると無性に甘えたくなり、ごろんとコウの肩に頭を乗せた。
私の額にコウの頬が触れる。
身体の温かさが体に伝わってくる。
その温かさが心地よくて、私は軽く目を閉じた。
「でも『新婚なのにベット別なの?』ってウケたなぁ」
「おまえ聞いてたの?」
すぐ側からコウの驚いた声が聞こえてきた。
きっと聞こえてないと思ったのだろう。
聞こえてきたのは本当。
正直に言えば聞き耳を立てていたんだけどね。
でもそれは言えないから恰も本当らしい事を言った。
「聞こえてきたの。田中さんの声大きいから廊下にまで聞こえてきたよ」
「そっか」
「普通言わないでしょ?大きなお世話だよ」
私はそう言うと「あはは」と笑った。
そういえば、コウはなんて答えたんだろう?
ドアを開けた時に呆れた顔をしていたから想像は出来るけど。
でもなんて答えたのか聞いてみたい。
だから私は目を開けてコウを見上げながら言った。
「コウはなんて答えたの?」
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