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「うるさいって言った。アイツには答えるだけ時間の無駄」
その言い方はとてもあっさりしていて、コウらしいなぁと思った。
何を言われても焦ることなくすんなりとかわす。
きっと田中さんはこれ以上何も言えなかったのだろう。
…うん。想像がつく。
コウはいつも誰に対しても余裕なんだから。
ふふふ。でもね。
いつも余裕なコウでもヤキモチ焼くのを知ったのよ。
そしてあの甘いキス。
まぁその時のコウの態度には悔しくて涙が出たけどね。
でも今思うとコウがヤキモチ焼くなんて…可愛い。
私はソファから立ち上がり、コウの前に立った。
コウは私が目の前に立つと「ん?」と不思議そうな顔をした。
そんなコウを見ていると意地悪の一つでも言いたくなる。
さっき私を泣かせたお返しだよ。
息が届く位に顔を近づけるとニッコリと微笑んだ。
「コウはいつも余裕だもんね。でもそんなコウがヤキモチ焼くなんてね」
「なんだよ」
コウはヤキモチ焼いた事を言われたのが嫌だったのか不機嫌そうな顔をしている。
でもその顔も愛おしい。
「ふふっ。嬉しかったの」
私はそう言うと自分から顔を近づけてコウの唇にキスをした。
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