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コウは突然のキスに驚いたのか一瞬身体が固まっているように感じた。
そんなコウを溶かすように何度も何度もキスを繰り返す。
…きっと私からキスするなんて初めてだから驚いているんだろうな。
でもたまにはいいんじゃない?
私だってコウにキスしたいんだから。
繰り返しキスをしているとコウの吐息が聞こえてきた。
そして私の背中に腕を回すとぎゅっと強く抱きしめ、深いキスをしてくる。
「えっ…あ…あんっ」
私は突然の形勢逆転に戸惑い体が固まってしまった。
そんな私を嘲笑うかのようにコウの舌が私の口内を触れていく。
でもそれは優しくて、とても気持ち良くて。
私はただコウを感じる事でいっぱいだった。
こんなにもコウに愛されている。ヤキモチ焼く位に愛されている。
だから高科さんとの事をちゃんとコウに説明しようと思った。
誤解だとわかってくれたけど、きっとまだ心は高科さんに対して蟠りが残っていると思うから。
話す事で蟠りが消えて欲しい。
それにその時の私の気持ちも聞いて欲しい。
私はゆっくりと唇を離すとコウを真っすぐに見ながら言った。
「ねえ。コウ」
「ん?」
「高科さんが私を支えてくれた時の事なんだけど。あの時プレゼンの話してたでしょ?」
コウは私が何を言おうとしているのかわからないみたいだ。
黙って不思議そうな顔をしている。
私はそんなコウを見ながら一呼吸すると思い切って彼女の名前を出した。
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