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華ちゃんは「わかりました」と言うと先に帰って行った。
いつもなら「えーなんでですかぁ」って怒るのに、今日はあっさりと承諾してくれた。
きっとただならぬ雰囲気に気がついたのだろう。
帰る時に私を見ていた目、凄く心配そうだったから。
華ちゃんにはちゃんと話さないと。
私はもう隠せないと思った。
華ちゃんが帰ると私達は近くのあるカフェに入る事にした。
この前早坂さんと行ったセルフ式のカフェだ。
そこは食事も充実していてパスタやサンドウィッチなどもあり、会社帰りにふらっと立ち寄っていくOLやサラリーマンも多い。
ちょうど夕食時というのもあり店内は賑やかだった。
理沙さんはあまりにも賑やかで一瞬嫌な顔をしたが、私はその店で良かったと思ってた。
だって静かな店より賑やかな方がいいから。
私達の会話がだけが聞こえるのは絶対に嫌だった。
カウンターでカフェラテを受け取ると理沙さんが座っている席に向かう。
理沙さんはコーヒーにしたらしく、ミルクと砂糖を入れてスプーンでくるくるとかき混ぜている。
私はそんな理沙さんに違和感を感じた。
…ブラックじゃないんだ。
仕事が出来る人のイメージってブラックって感じだからミルクと砂糖を入れる理沙さんが意外だった。
席に座っても理紗さんは視線を合わせる事なくかき混ぜている。
私はどうしていいのかわからず、とりあえずカップを口にあててカフェラテを飲んだ。
この店のカフェラテは結構好きなのに味がよくわからない。
それよりもこの何とも言えない間が凄く嫌だ。
でもだからって私から話を聞くなんてできない。
私は理沙さんが話し出すのを黙って待っていた。
すると理沙さんはかき混ぜる手を止めると私をじっと見つめた。
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