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理沙さんは視線を移すことなく私を見ながら言った。
その顔は凛としていて、反論させない威圧感を感じる。
まるで全てを知っているような。
それを武器に私の心を壊そうとしている。
…この人何か知ってる。
私達の結婚の何かを。
すごく怖い。コウ助けて。
助けを求めたくてもコウはここにいない。
理沙さんの威圧に私は思わず目を逸らしてしまった。
そして俯くと小さい声で答えた。
「…夫婦で…す」
私の反応に理沙さんは口元を上げるとわざとらしい言い方をした。
「ああ、ごめんなさいね。言い方が悪かったわ。あなた達はどうして結婚したの?」
「え…」
「大恋愛の末?」
「…」
「うふふ、やっぱりね。あなた達は偽装結婚なんでしょ?」
「…偽装結婚」
その言葉を言われた時に胸にぐさりと鋭利なもので刺されたかのような痛みが体中に走った。
確かに私達はお互いの利益を求める為に結婚した。
だからもちろん大恋愛の末の結婚ではない。
偽装結婚と言われてもおかしくないけど…。
でもそれをどうして理沙さんが知ってるの?
すると理沙さんは勝ち誇ったように微笑みながら言った。
「私、知っているのよ。彼があなたと結婚した理由を」
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